メディアコンバータとは?役割やメリット、選び方、主な機能、使用例についてご紹介
光ファイバを活用したネットワークの構築に必要な機器の一つがメディアコンバータです。メディアコンバータにはさまざまな機能があり、各社から多くの商品が提供されています。そのため、自社のニーズに適した商品を選択しなくてはなりません。ここでは、メディアコンバータがどのようなものなのか、役割やメリット、選び方、主な機能、使用例についてご紹介します。
①メディアコンバータとは?
メディアコンバータ(Media Converter)とは、異なる種類の媒体を接続する際に、信号を変換するネットワーク機器です。主には、電気信号を光信号に変換する装置を指し、主に伝送距離の延長を目的として使用されます。異なる通信媒体間でもデータ伝送が可能となり、ネットワークの範囲と効率が大幅に向上します。また、メディアコンバータは「メディコン」や「MC」と呼ばれる場合もあります。
ここでは、メディアコンバータの役割とメリットをご紹介します。
②メディアコンバータの役割
メディアコンバータの主な役割は、以下となります。
(1)伝送距離の延長
(2)ノイズ対策
それぞれの内容を確認しておきましょう。
(1)伝送距離の延長
電気信号を伝えるLANケーブルの最大伝送距離は100mまでとなります。しかし、
メディアコンバータにより電気信号を光信号に変換することで、伝送距離を100mから100kmまでなど延長が可能となります。大規模なネットワーク環境でもデータの伝送が可能となり、通信の範囲と効率が大幅に向上するのがメリットです。
(2)ノイズ対策
LANケーブルはメタル(銅)でできているため、ノイズの影響を受けやすいのが課題でした。しかし、メディアコンバータを使用することでノイズに影響されない光信号に変換し、これらの問題を回避できます。これにより通信の安定性と信頼性が期待できます。
③メディアコンバータのメリット
安価な光ファイバを利用した長距離伝送ができるのは、メディアコンバータのメリットです。さらに高速なデータ転送速度を提供する光ファイバベースのネットワークに簡単にアップグレードできる点がメリットです。
また、責任分界点を設定できる点もメディアコンバータを活用するメリットです。メディアコンバータは、ネットワークの責任分界点(demarcation point)を設定するのに役立ちます。ネットワークの所有者と、サービスプロバイダ間でネットワークの管理と責任を分けるポイントを明確化します。
その結果、ネットワークのどの部分が自組織の責任であり、どの部分がサービスプロバイダの責任であるかを明確に識別することが可能です。問題が発生した場合、トラブルシューティングが容易になります。
④メディアコンバータの選び方
ここでは、メディアコンバータを選ぶポイントをご紹介します。
(1)伝送速度
伝送速度は10Mbps/100Mbps/1Gbps/2.5Gbps/5Gbps/10Gbps等までさまざまです。機器の通信速度と合ったメディアコンバータを選択しましょう。
(2)光ファイバの種類
光ファイバのモードを確認することが必要です。光ファイバには、シングルモード(SMF)とマルチモード(MMF)がありますので適したメディアコンバータを選択してください。
SMFは長距離通信に適しており、MMFは短距離・中距離通信に使用されるのが特徴です。MMFはOM1/OM2/OM3と種類があり伝送速度や距離を意識してメディアコンバータを選択することも必要です。
シングルモード(SMF)とマルチモード(MMF)の2つのモードを対応機もあります。
(3)伝送距離
メディアコンバータもしくはSFPモジュールを選択することで伝送距離を指定できます。
(4)芯数
光ファイバ2芯で通信をするタイプと、1芯で通信するタイプ2種があります。
2芯の光通信は送信用/受信用とそれぞれに接続ができるため同機種を対向で接続できます。
1芯の光通信は1本李光ファイバにて送信用/受信用の光信号が存在するため違う光波長それぞれに割当通信を行います。そのためメディアコンバータはAタイプ/Bタイプの2種を対向で接続し使用します。
(5)コネクタの種類
メディアコンバータに接続する光コネクタの種類について確認してください。メディアコンバータに接続する光コネクタの形状には種類がございます。
また、メディアコンバータ側の光コネクタが、お客様が準備した光ファイバのコネクタ形状と違う場合は、変換コード/変換アダプタにてご提案することも可能です。
⑤メディアコンバータの機能の紹介
メディアコンバータには、さまざまな機能が搭載されています。以下で、主な機能をご紹介します。
(1)リンクフォルトパススルー機能
リンクフォルトパススルー(Link Fault Pass Through:LPT)は、メディアコンバータのポートが接続先とのリンクを失った状態であることを、別のポートへ伝える機能です。具体的には、ケーブルの断線などでコンバータの片側のリンクが切れた場合に、反対側のリンクを自動的に切断します。これによって、障害発生時にリンクが自動的に切断され、切断時の回線二重化処理により通信を確保することが可能です。
(2)デュアルレート対応製品の機能
デュアルレート対応のメディアコンバータは、光通信部のデータレートを2種サポートする製品を指します。ネットワークの要件に応じて、対向相手のメディアコンバータ光通信のデータレートが変わっても、デュアルレート製品はそれを検知し自動的に光のデータレートを合わせることが可能となります。
よって、100Mbpsから1Gbpsへ移行する際も、工事過程の中で通信を途絶えることなく移行が可能となります。
⑥メディアコンバータの使用例
メディアコンバータは、主な使用例をご紹介します。
(1)大規模建築物内のネットワーク配線
大規模建築物内のネットワークを接続する際に、メディアコンバータが使用されることが一般的です。光ファイバによる長距離伝送を実現します。地理的に離れた場所にあるネットワーク配線での通信を効率的に行えます。
(2)セキュリティカメラネットワーク
セキュリティカメラの映像を本社や監視センターに送信する際にも、メディアコンバータが使用されます。特に光ファイバは、長距離でも信号劣化が少ないため、高品質な映像をリアルタイムで伝送することが可能です。企業のセキュリティ担当者は、遠隔地の映像を確認し、必要な対策を迅速に実施できます。
またセキュリティカメラに使われるメディアコンバータは、屋外ボックスに設置されることも多いため、高温度範囲対応製品が有効なことが多くなっております。
(3)データセンター内のサーバー接続
データセンター内でサーバーを接続する際にも、高速な光ファイバを利用するために、メディアコンバータが使用されるケースが多いです。データセンターでは、大量のデータを高速に処理する必要があります。メディアコンバータを使用することで、サーバー間の通信速度を大幅に向上させ、データ処理の効率を高めることが可能です。
(4)工場の制御システム
工場の制御システムにおいてもメディアコンバータが使用されことが増えてきています。信号変換を行うことが目的です。光ファイバはノイズに強いという性質から、制御システムの効率や通信の安定を向上させることが可能です。
まとめ
メディアコンバータの主な役割として、伝送距離の延長・ノイズ対策などが挙げられます。導入する大きなメリットとしては、安価な光ファイバを利用した長距離伝送が可能で、ネットワークの責任分界点を設定できる点です。
選び方には、伝送速度、光ファイバの種類、伝送距離、芯数、コネクタの種類が考慮されます。使用例としては、大規模建築物のネットワーク配線、セキュリティカメラネットワーク、データセンター内のサーバー接続、工場の制御システムなどが考えられるでしょう。
日本テレガートナーは、さまざまな種類のメディアコンバータを取り扱っています。具体的には、以下のようなものが挙げられます。
・TMC-602SFP(10Gbps):10Gbpsネットワーク配線に使用されるメディアコンバータ
・TMC-302シリーズ(1Gbps):1Gbpsの通信速度をサポートし、DIPスイッチで通信速度の固定設定が可能
・TMC-102シリーズ(100Mbps):100Mbpsの通信速度をサポート
メディアコンバータやネットワークの構築で課題を抱えている場合は、ぜひ日本テレガートナーへお気軽にご相談ください。